知っておきたいマイクの種類や性能などをまとめました(前編)
みなさんは外部マイク、使ったことありますか?
マイクの使用シーンとしては、アンプやミキサーに繋いだり、カメラでの収録などいろいろ思い浮かびますね。
最近だとパソコンでのビデオチャットや動画配信などでも良く使われてると思います。
スマホで使えるマイクもあったりしますね。
そんな需要ありまくりの外部マイクですが、APEXレンタルでもようやく時代の流れに乗り始め、取り扱う種類を増やしてきていますが、
そうなると「たくさんありすぎてどれを選べばいいかわからない」となる方もいらっしゃると思います。
適当に選んだ場合、きちんとつないでいるのに音が出ないなんてこともあり得ます。
「なんで?」と憤りを感じますが、マイクの種類や入出力端子には様々な罠が潜んでいて、さらに憤りを感じざるを得ませんまったく知識がないと難易度が高すぎてどうしようもありません。
そこで今回の特集では、なるべくかみ砕いて、どうすればきちんと使えるのか、マイクを使うときに知っておきたいことをまとめていこうと思います!
書いてる人も初心者です!一緒に勉強していきましょう!
マイクいろいろ
マイク端子について学ぼう
当たり前のことなんですが、「マイクが使用機器に対応しているか」は重要なポイントです。
上でも書きましたが、マイクは種類も接続方法もいろいろあります。まずはもっとも単純な「端子」について見ていきましょう。
例えばパソコンとつなぐマイクはUSBマイクや3.5mmのミニプラグ(ミニジャック)で接続するタイプが多いです。スマホで使うマイクもミニプラグが主流ですね。
さらにビデオカメラやミラーレスで使うマイクは、民生用(家庭用)だとミニプラグ接続が多く、業務用だとXLR(キャノン)という端子で接続するタイプが多くなってます。
複数のマイクや音源をまとめることができる音響ミキサーは、6.3mmサイズのフォーンプラグ(標準プラグ)で入力できるものもあります。
表にまとめるとこんな感じです。
マイクの端子 | 主な接続機器 | 端子の写真 |
---|---|---|
ミニプラグ(3.5mm) (ミニジャック) |
ミキサー、カメラ、パソコン、音響機器 | |
フォーン(6.3mm) (TRS/TS) |
ミキサー、音響機器 | |
XLR(キャノン) | ミキサー、カメラ、音響機器 | |
USB | パソコン |
接続される側の機器をいくつか見てみましょう。
まずはAPEXレンタルで取り扱いのある一番安価なミキサー「ポータブルマルチミキサー AT-PMX5P」です。
AT-PMX5Pの入力端子
マイクが入力できる端子は、上側のCH1〜4のフォーン端子(赤色)と、STEREO MICと書いてあるミニプラグ(青色)の5つです。
RCA(ピン)端子(緑色)にはマイクは通常接続しません(「LINE IN」と書いてあります、後述)
続いてレンタルで人気のミキサー「YAMAHA ミキシングコンソール MG10XUF」です。
MG10XUFの入力端子
こちらはステレオミニプラグの入力はありません。
マイクを使えるのはCH1〜4のXLR/フォン端子(赤色)となります(「MIC/LINE」と書いてあります)。
フォーン端子(青色)もありますが、よく見ると「LINE」と書いてあります。通常、ここにマイクを繋ぐことはしません。
マイクをつなぐ端子にいろいろあることはわかったけど
端子が異なっていても変換して接続すれば、なんでも使えるんじゃないの?
きちんと繋がってるんだし。
残念ながら原則として、マイクは変換をしないでケーブル1本でMIC端子に繋ぐべきです。
変換した場合、問題なく繋がっていても使えないときがあるからです。
それは出力と入力信号の不一致あるいはマイクへの電源供給の不一致、または音声信号の減衰(変換や延長することで抵抗が増すため)が原因です。見た目じゃなくて内部的な問題なのです(だから難しい…)。
詳しくは次節以降で解説します。
- マイク端子まとめ
- ・マイクを接続する端子はミニプラグ、フォーン、XLR、USBの4種類
- ・仕様がいくつかあるので接続できても音が出ないことはよくある
- ・ほとんど解説していませんが、USBマイクはパソコン向けマイクと考えてOK
マイクの種類について学ぼう
次にマイクの種類について勉強しましょう。
APEXレンタルで取り扱いのあるマイクはたった2種類、電源供給が必要か必要でないかで分類することができます。
電源供給が必要なコンデンサーマイク
コンデンサーマイクは何かしらの方法で電源を供給しないと動作しません。
供給方法には、乾電池だったり、ファンタム電源と呼ばれる主に業務用機材で使われるものや、プラグインパワーおよびバスパワー(USBバスパワー)と呼ばれる主に民生用機材で使われるものがあります(エレクトリックコンデンサー型も含む)。
機材名 | 電源供給方法 | マイクの写真 |
---|---|---|
TASCAM TM-95GN |
ファンタム電源 XLR端子から供給 |
|
RODE Stereo VideoMic Pro Rycote |
乾電池 | |
SONY ECM-CG60 |
ミプラグインパワー ミニプラグから供給 または乾電池 |
|
オーディオテクニカ AT9934USB |
USBバスパワー USB端子から供給 |
電源供給が不要なダイナミックマイク
ダイナミックマイクは電源を供給してはいけないマイクです。コンデンサーマイクとは対照的ですね。
APEXレンタルで取り扱いのあるSHURE SM58Sは、ダイナミックマイクの定番です。
ちなみに「YAMAHA STAGEPAS600BT」や「MACKIE FREEPLAY LIVE」といったPAセットにもSM58Sはが付属しています。
音の信号「レベル」に注意しよう
さて、マイクの基本がわかったところで、続いては端子近くに書いてあった「LINE」や「MIC」のお話です。
以下の写真は、「MG10XUF」と「MACKIEアナログミキサー 1402VLZ4」の入力端子を拡大したものです。
MICとLINE
「MIC」は言わずもがな、マイクを接続できる端子です。
そして「LINE」は、みなさんお使いのアプリのことではなく、マイク以外の機器と接続できる端子です。
具体的にはミキサー、アンプ、プレイヤーや、楽器などをつなぎます。
写真の左側の端子(コンボジャック)は「LINE」と「MIC」のどちらも使えます。よく見ると中央にフォーン用の穴も開いていますね。
「LINE」と「MIC」が明確に独立していない機材は、信号に合わせて自分で正しく調整しないといけない機材がほとんどです。
「LINE」と「MIC」は端子の違いだけではなく、「レベル」という性能の違いもあります。
「LINE」ならラインレベル、「MIC」ならマイクレベルと呼ばれる音声信号を流れます。
マイクレベルはラインレベルより1000倍も弱い信号です。そのため扱うときは何らかの方法で1000倍に増幅させる必要があります(後述します)。
また「MIC」設定時はラインレベルの信号を流すと機器の故障につながりますので、細心の注意が必要です。
マイクレベルって、そんなに弱い信号ならノイズの影響ひどいんじゃないの?っていうかMIC/LINE端子は罠すぎない?
マイクレベルの信号はとても繊細です。ですからケーブルを長くするときはXLRというバリバリ業務用でそれなりに高価なケーブル(バランスケーブルと言います)で伝送させて、ノイズの発生を抑制します。
詳しくはググってみてください。
「MIC/LINE」の端子は…そうですね…きちんと調整すれば問題ないはずなので、詳しくは次節で説明しましょう。
入力信号に合わせてレベルを調整しよう
さっそくですが、入力信号のレベル調整のやり方を説明していきます。
調整は「MIC/LINE」端子(コンボジャック)に限った話ではなく、常に考えておく必要がある大事な概念です。
概念とか言ってますがそこまでこわばる必要はありません。すっかりおなじみの「YAMAHA ミキシングコンソール MG10XUF」を例に見てみましょう。
MG10XUFは「MIC/LINE端子」にケーブルをつなげば、自動で適切な信号に切り替えてくれる、といった都合の良い機材ではありませんが、かんたんに調整的なことはできます。
よく見ると端子の下に「PAD」というスイッチがあり、PADスイッチを押すことで入力レベルを減衰させて、入力信号に合わせて調整することができるようになっています。
MG10XUFの場合、PADスイッチを押すと「26dB(デシベル)」分、信号を弱めることができます。
YAMAHA公式によると、PADスイッチを押した方が良い機材は「プレイヤー」「電子楽器」「LINE OUT」などだそうです。
参考:YAMAHA よくあるお問い合わせ(Q&A)
MG10XUFのPADスイッチ
これらを覚えておく必要はありませんが、信号のレベルがよくわからないときはPADスイッチを入れてから接続すれば…
- つないだけど音が小さすぎる → PADスイッチをOFFにしよう
- 適切な音が流れている、PADスイッチをONにしておいてよかった
という感じになるので、トラブルを未然に防げますよね!
ちょっと待って!?このミキサー、PADスイッチが見当たらない!不良品よ!
MG10XUFにはPADスイッチがありましたが、「MACKIE 1402VLZ4」にはPADスイッチがありません。
ですが入力端子自体がXLTとフォーンのコンボジャックではなく、MIC入力はXLR、LINE入力はフォーンと、完全に分かれてます。
こういったつなぐべき端子が決められている機材もありますので、よく見てから接続すれば問題はないはずです。
1402VLZ4の入力端子
「ポータブルマルチミキサー AT-PMX5P」は?
ははは、痛いところを突いてきますね!
これは次回のお話にとっておきましょう。
- 音の信号レベルまとめ
- ・マイクレベルとラインレベルの2つがある
- ・ラインレベルはマイクレベルよりも信号が強い
- ・LINE端子にマイクレベルを流しても小さすぎて聞こえない
- ・MIC端子にラインレベルの大きな信号を流すと機器の故障につながる!>PADスイッチを使おう
PADスイッチと同じ信号レベルを減衰させるものに、アッテネーターという装置もあります。「PAD」ではなく「ATT」というものがあったらそれです。ほとんど同じ感じで使えるもなので覚えておきましょう。
今回はここまで
かなり長い記事になってしまうので、いったんここで区切ります!
次回は「電源供給」や「信号増幅」などを解説予定です。