マウントコンバーターMC-11とは
今月の特集はEFマウントレンズをEマウントカメラで使うためのコンバーター MC-11 を使ったレポートです。
発売してから3年近くたっているためいまさら感もありますが、レンタル館でシグマ製の交換レンズが充実してきたということもあり、それに伴いMC-11もレンタルスタートとなりましたので、良い機会ですし所感をまとめてみました。
まず外観について、三脚座が無いのが気になりましたが、内部に反射防止も施されていて、モノ自体は堅実な作りに思えます。
大事なお約束
この記事を読んでいただく前に約束事です。
シグマは対応しているカメラボディ、レンズ以外でMC-11を使用した場合の動作保証は一切していません。これは弊社レンタルサービスにおいても同様です。
MC-11を非対応のカメラボディ、レンズで使った際に生じた不具合、不利益などなど、シグマ社はもちろん、弊社でも責任は負いかねますので、あらかじめ重々ご承知の上、利用を検討してください。
話を戻しまして、今回試したレンズはシグマが対応を謳っているシグマ製EFレンズと、謳っていない非対応のキヤノン製EFレンズの中から、Eマウントレンズには無い画角、焦点域のレンズになります。
具体的には以下のレンズです。ページ内リンクになっていますのでピンポイントでジャンプできます。
- ・35mmF1.4 DG HSM Art(キャノン用)
- ・135mm F1.8 DG HSM Art(キャノン用)
- ・100-400mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporary(キャノン用)
- ・60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM Sports(キャノン用)
- ・EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM
- ・EF14mm F2.8L II USM
- ・EF17-40mm F4L USM
- ・EF40mm F2.8 STM + α6500
- ・EF200mm F2.8L II USM + α6500
ボディは公式対応のα7R IIIを使用し、適当に静止画を撮影しました。
コメントは主観になりますので、勘違いがあったらごめんなさい。
Eマウントカメラユーザーも発売当時(3年前)より大幅に増えていると思いますので、MC-11を気になっている方も少なからずいらっしゃるはず。
そのような方にお役に立てればうれしい限りです。
さっそくみていきまーしょう!
35mm F1.4 DG HSM Art(キャノン用)
みんなの憧れ(?)、シグマのArtレンズ!
使用するにあたり特に問題は無さそうな感じでした。
また今回使用したカメラα7R IIIは、ボディ内手ブレ補正があり、さらに本レンズは明るいF1.4ですので、安心して撮影を楽しめました。
本レンズはソニーEマウント用も存在することはおいておいて、問題があるとすればやや重たいということでしょうか。
135mm F1.8 DG HSM Art(キャノン用)
上の35mmと同じですこぶる快適。
中望遠レンズということでボケが大きく表示されるため気が付いたのですが、フォーカス時に液晶パネルに表示されるボケが一度開放になってからピントを合わせ、ピントが合ったらボケ量が元に戻る、というような動きに感じられました。不具合ということではなく、そういう仕様なのかもしれません。
なおそのままでも十分速いAFでしたが、このレンズにはフォーカスレンジを切り替えられるスイッチがあるため、適切に使用することで良好なフォーカス精度、フォーカススピードが期待できます。
本レンズもソニーEマウント用が存在しますが、問題があるとすれば、やや、いやかなり重たいということでしょうか。
100-400mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporary(キャノン用)
ソニー製にも同ズーム域のEマウントレンズがありますが、あちらはG Masterレンズのため大きく重くなります。こちらはそれよりも一回りほど小さく軽いレンズですので、機動性を重視したい場合、本レンズをチョイスするのはありかなと思い、使ってみました。
動作は問題ないのですが、先の単焦点レンズと比べるとやや軽快さに劣ると感じました。
60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM Sports(キャノン用)
こんなにアンバランスですが、オートフォーカスは問題なく働きます。ただし、望遠域は明らかに精度が落ちていました。
Eマウントレンズには無い600mmもの超望遠ですので、ニーズはあるのではと思いますが、手持ちではなく三脚を使用して撮影すべき組み合わせですね。しかも写真は60mm側で、600mm側はさらにここから伸びます。
写真の掲載はありませんが、実は120-300mm F2.8 DG OS HSM Sportsも使ってみてました。
上述の2本のズームレンズより快適な動作でしたので、400mmを超えるような焦点距離が長いレンズはアダプター経由だと性能の劣化が著しいのかもしれません。
EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM
ここからは非対応のキヤノン製レンズです。
しかしながら全く問題のなさそうな使用感。まるで純正レンズのような使い心地でした。全周魚眼は楽しいですね。
EF14mm F2.8L II USM
こちらもフィッシュアイ同様、問題は見られなかった組み合わせ。サイズ感もちょうどいいため撮影を目いっぱい楽しめそうです。
ここまで使ってみて、MC-11は望遠ではいまいちなのかと思い始めました。
EF17-40mm F4L USM
やや古めの広角ズームレンズ。動作は良好。フォーカスもスムーズ。
最短撮影距離が短くインナーズーム(ズームしても鏡筒が一定)、そして何よりも見た目によらず軽量なので、αでLレンズの描写の気軽に楽しみたい方にはおすすめしたい組み合わせです。
個人的にも好きなレンズの1つですが、フードがとてもかさばるのが玉にキズです。
EF40mm F2.8 STM + α6500
続いてボディをα6500に変更し、超軽量パンケーキレンズ「EF40mm F2.8 STM」を取り付けてみました。
スナップカメラとして使いやすいかな、と思ってやってみたのですか、アダプターを介すため残念ながらそこまでコンパクトにはなりませんでした。
レンズの性能から動作もそこまできびきびしているわけではなく、結果として強くおすすめできる組み合わせではないでしょう。
EF200mm F2.8L II USM + α6500
上の40mmとは打って変わってこちらはかなりおすすめできる組み合わせです。
EF200mm F2.8L II USMは手ブレ補正機構が搭載されていないそこそこ古いレンズなのですが、APS-Cカメラに装着することでサンニッパを手軽に実現させてしまえるのです!
α6500ならボディ内手ブレ補正機構がありますので、300mm F2.8 ISを比較的小柄かつ軽量で使えます(それでも1sは超えますが)。フォーカススピードについてもシグマの望遠レンズよりは間違いなくスピードが速く、実用的でした。
感想
・望遠レンズすべてに言えたことなのですが、広角側と比べて望遠側のフォーカスが遅く、精度も低いように感じました(特にシグマのレンズ)。
また暗い箇所へのフォーカスは望遠、広角問わず同様な感触でした。
つまりソニー純正のレンズにはない望遠レンズを実用レベルで使える?という希望は残念ながら・・・のようです。
・キヤノン製レンズと比べてシグマ製のレンズの方が、オートフォーカスの作動音がやや大きいと感じました。
単純にフォーカシングが遅い、時間がかかる、作動音が長めに鳴る、だからかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になると思います。
・キヤノン製レンズのみAF-C時、フォーカスの位置がピコピコ動くものに変わっている動作がはっきり見れました。
なおシグマは公式でAF-C、AF-A非対応と謳っています。
・ただしAF-C時の連写は使い物にならないと言い切ってしまってよいと思います。「Mid」設定以上は1枚目のみピントが合い、それ以降はまったく合いません。
以上、少しでも参考になれば幸いです。
おまけ
キヤノンのEF-Sレンズは若干マウントの作りが違うため使えません。といいますか、装着できませんのでご注意ください。